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執筆者の写真FP 4403よしおさん(秋山芳生)

貯蓄型保険をやめたら損します。それでもやめた方がよいですか?


貯蓄型保険を解約したいけれど、元本割れしてしまうので躊躇している人はとても多いです。

また、貯蓄型保険が損だというのはわかったけれど、養老保険やドル建て終身保険と種類と名前が違うから混乱する方も多いです。


貯蓄型保険という意味では、

  • 個人年金保険

  • 養老保険

  • 終身保険

  • 学資保険

  • ドル建て終身保険

  • ドル建て変額保険  など、

色々とありますが、どの貯蓄型保険も基本は同じで、

途中解約すると損するというより、加入してしまった時点で損だと言えます。



貯蓄型保険に入った人は、

「銀行預金より増やしたい」

しかも

「保険もついている」

さらに、

「保険料控除で節税もできる」

のでおトク

というセールストークで加入した人も多いと思いますが、、、、、


裏を返すと、


「たいして増えない手数料の高いボッタくり投資信託」

「手数料が高く保障の薄い保険」

の抱き合わせ商品ということになります。


また、「保険料控除」もたいした節税にはなりません。

(個人年金保険料控除は、年間の掛け金に対して、所得税は40000円まで住民税は28000円までが控除対象なので、所得にもよりますが仮に所得税率10%、住民税10%だとしたら、

4000円+2800円が戻ってくるだけです。)


なので、「加入する」ことも「続ける」ことも、「解約する」ことも損です。

だから、はじめてしまった時点で損ということになります。


例えば、毎月約3万円のドル建て終身保険を4年積み立てていて、支払い保険料144万円の人が、今解約すると返戻率74.2%で107万円だとします。これだと37万円損することになります。

5年目まで続けて、累計180万円を支払い、78%の返礼率になると140万円しかもどらないので、返礼率は上がっても40万円損することになるので被害は広がってしまいます。

もちろん返礼率が100%になるまで待てば、金額的な損はしませんが、10年20年と資金拘束された結果としてはあまりにもリターンがなさすぎますし、インフレ負けしてしまう可能性が高いです。


仮に、4年目で貯蓄型保険をやめて、返戻金の107万円を元手に、3万円を複利5%で16年間運用できたとすると、元本683万円に対して運用益が約62万円増えて745万円になる可能性があります。


ただし「損した分を取りかえそう」と考えてしまうと、無理な投資をしてしまったり余計なリスクをとってしまう可能性があるのでムキになるのは禁物です。

手数料の高い増えない投資信託から、手数料の安い真っ当な投資信託にスマートに乗り換えるという気持ちが正解だと思います。


また、先々を考えると投資に切り替えた方が良いとわかっていても、それでも人間は「損失回避」の生き物です。目の前の損失を受け入れることができない人も多くいます。


そんなときは、もう一度、

「ボッタクリ投資信託」と「保障の薄い保険」

にわけて考えていただきたいです。



「ボッタクリ投資信託」

キツイ言葉ですが「ボッタクリ」と言っているのには2つの理由があります。

まず、ぜんぜん増えないことです。

20年でやっと元本にもどるとか、105%になったなどという商品がごろごろあります。これではインフレ負けをしてしまいます。

また、保険のパンフレットに書いてある「積立利率」とか「予定利率」という言葉がまやかしであることです。


「予定利率2.5%最低保障します。」

「積立利率3.5%で運用できれば最終的にはここまで増えます」


など書かれている資料はたくさんあり、

つい、「金利が2.5%最低保障ってすごいな」と勘違いしてしまいます。

ですが、予定利率や積立利率と、銀行の金利は全然意味が違います。


例えば、積立利率2.5%と書いてある場合は、積立てた保険料の全てが2.5%で運用に回っているわけではなく、「保険料のうち、保険会社が決めた一部割合だけ」が運用されます。

この、一部の割合は公表されないことがほとんどなので、最終的な利回りは金利は、計算をしてみないとわかりません。積立利率2.5%と書いてあると、だいたい1/5から1/6くらいが運用に回っているケースが多く、実質0.4%や0.5%くらいで運用されていることになります。


そして、手数料も非常に割高です。

信託報酬に換算すると保険のコストも合わせて、2%以上も手数料が取られていることがほとんどです。優秀な投資信託が0.1%ほどの信託報酬で買えることを考えると、20倍以上も高い手数料をはらっていることになります。



「保障の薄い保険」

保険の部分についても、掛け金に対して保障が薄い保険が多く、お子さんがいる家庭であれば子どもの生活費や教育費を保険でまかなおうとすると、多くの保険料が必要になってしまいます。たとえば、貯蓄型保険では毎月3万円ほどの掛け金でも1000万円の死亡保障しかつかないなんてことになります。

子どもがいて、親に万が一のことがあったら残された家族の生活が大変なのに、貯蓄型保険に大量に入ってしまったから、十分な保障の保険には入れないなんてことになっていたら、本末転倒です。また、お子さんがいない家庭であれば、そもそも死亡保障自体が不要です。


途中解約で、損切りすることはなかなか受け入れ難いと思いますが、

その損失の部分は、「ものすごく割高な掛け捨て保険に入っていた」と考えると良いと思います。割高な掛け捨保険で払った分がなくなっただけと考えられると気持ちの整理がしやすいのではないでしょうか。


一方で、こんな方は「やりきった方が良い」とアドバイスしています。


・今解約すると返戻金が少ないが、後数年やりきれば元本が戻る場合

長く貯蓄型保険を積み立ててきて、あと数年で返戻金が100%以上になる場合、最後の回復期を逃してしまうことがあります。その場合は最後までやりきった方が良いでしょう。

 特に50代以降の方で、今まで長く貯蓄型保険に積み立ててきている方は、

引退まであまり時間がありません。

損切りして投資に切り替えるのもリスクが高くなってしまうので、貯蓄保険を満期までやり切ることをお勧めしています。


・また、学資目的で貯蓄保険をつみたてていて、あと10年以内に大学入学があるような場合は、解約すると返戻金が元本割れし、投資で取り戻す期間がないので継続した方が良いでしょう。

 ただし、現金の貯蓄が別にあって、将来の学費は現金で払えるような場合は、損切りになっても貯蓄保険をやめても良いです。保険の返戻金と積立の目的を老後資金に切り替えるなら十分に投資期間があるからです。



ちなみに、払い済みは選択肢にならないので注意が必要です。

損したくないからと、払い済み保険にして、元本が戻るまで寝かせるという選択は、まったく理に適っていません。

「効率が悪いからやめた保険を、返戻金でもう一回買い切る」ということになるので、それならば返戻金をもっと増える投資に切り替えるべきだと思います。



日々家計の相談にのっていると、このような方に多く出会います。


貯蓄型保険があり、リボ払いがはじまった

貯蓄型保険があり、こどもがやりたがってる習い事をさせられなかった

貯蓄型保険があり、健康なうちに旅行にいけなかった

貯蓄型保険があり、iDeCoやつみたてNISAにまわせるお金がない

貯蓄型保険があり、子どもがいるのに十分な死亡保険にはいれない


もちろん全て貯蓄型保険が原因というわけではないのですが、

保険の加入時には気付けない支出がでてしまったり、

ライフステージの変化でお金がかかるようになると生活が逼迫したりすると、ドミノ倒し的に他の支出が制限を受けて「自分の人生を自分で選択する」という自由が奪われてしまうことがあります。

「貯蓄型保険を途中解約して元本割れをしたくない」という思いが判断を鈍らせて、長期間資金拘束されたまま、さらに間違ったお金の使い方をしてしまったり、どんどん自由を奪われてしまうことがあります。


自分のお金の使い方を、自分の判断でできるようになることが何よりも大事だと思います。

資金拘束されて、がんじがらめになっている状態であれば、損切り額がたとえ大きくても、気づいたら勇気をもって前にすすんでいくと良いと思います。


過去と他人は変えられないけれど、未来と自分は変えられます。

過去の失敗をひきずるのではなく、新しく自由に自分の人生を切り開くことに注力できると良いですよね。


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